てん

orangeのてんのネタバレレビュー・内容・結末

orange(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

青春ラブストーリー×タイムパラドックスもの

母親が自分のせいで自殺してしまった、という闇を抱え、その罪悪感から、自ら死を選んでしまう翔。10年後、彼の死が事故ではなく自殺だったことを知り、彼を何とか救いたいと10年後の未来から過去の自分に手紙を送り、彼を自殺させないように、主人公たちが奮闘するお話。

泣けました。良かったです。結局は翔は死んでしまって、その未来は変わらないという事実が切ないのですが、過去を変えることで彼が死なない新しい未来(パラレルワールド)を作り出すというのが新しい。

とりあえず未来で主人公の菜穂ちゃんと結婚する須和くんがいい奴過ぎてもう。だって彼にとって翔を死なせないということは、菜穂ちゃんへの恋心を諦めるということ。未来に変化はないけど、翔を救えた世界では菜穂ちゃんは絶対に翔と結ばれるわけで、自分は菜穂ちゃんとは結ばれない。未来で産まれる子供も産まれない。
翔を失った菜穂ちゃんが、どういう経緯で須和くんと結ばれたかは描写がないけど、きっと菜穂ちゃんは須和くんに支えられて望んで結婚したはず。

そして翔演じる山崎賢人くんの演技力を多少見くびってました。ごめんなさい。
青春ラブストーリーならとりあえず山崎くん使えばいいと思いやがって、なんて思ってた自分を殴ってやりたい。
あんなに泣ける演技をする人だとは思わなかった。クライマックスに向かって、翔がどんどん儚く消え入りそうになっていく姿は本当に見ていて辛かった。ほっといたら窓から飛び降りるんじゃないか、川に身を投げるんじゃないか、そんな雰囲気をかもしだしていて。
翔は最後まで菜穂ちゃんに「好き」とは言わない。告白めいた言葉はあるけど、その言葉は、自殺を考え始めていた翔には精一杯の告白だった。切ないね。

個人的には、菜穂ちゃんは有村架純ちゃんあたりに演じてほしかった。土屋太鳳ちゃんの話し方と声が苦手で...。


いくつか引っかかった突っ込みどころ
①菜穂ちゃん、何で最初に手紙が届いた時点で、最後まで読んでしまわないの?普通気になるよね。
②そしてその手紙には「始業式の日、翔を誘わないで」じゃなく、「翔を誘うことで彼のお母さんが自殺してしまう。だから誘わないで。そのことで彼が自殺してしまうからそれを食い止めてください」と書けばよかったのでは。そしたら翔だけではなく、彼のお母さんも救えたかもしれない。...まあそれじゃ話が進まないか。
③道路の真ん中でいつまでも座ってたらみんな轢かれて死んじゃうよ?最高に泣けたけど、そこだけは引っかかった。
④未来から手紙を送る方法がまさか「土に埋める」とは。もうちょっとなんかあったでしょう。「漂流教室」で出てきたみたいな方法がさ。
てん

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