義民伝兵衛と蝉時雨

悪意の眼の義民伝兵衛と蝉時雨のレビュー・感想・評価

悪意の眼(1962年製作の映画)
4.0
憧憬、羨望、嫉妬、、、
飲めば飲むほど渇きを催す、
海水のような、他者への視線、
内側に目を向けずに、外側にばかり目を向けた男が、転落した奈落、
欲望に振り回される者は、いつしか己も業火に巻かれている。

「美しきセルジュ」や「いとこ同士」で魅せたようなヌーヴェルヴァーグの代名詞とも言えるような瑞々しいモノクロ映像美、そこに円熟期へと繋がる道への初歩とでもいうようなシャブロル監督らしいサスペンスの初々しい香り。

カメラワーク、構図、長回し、
台詞回し、モノクローム、ロケ撮影、
ムーサ ステファーヌ・オードランの姿がここにも、

シャブロル映画、
初期のヌーヴェルヴァーグらしい香りと、
後期へと繋がるサスペンスの香り、
それが混じり合った過渡期の匂い、
それらを存分に楽しんだ。