義民伝兵衛と蝉時雨

オッペンハイマーの義民伝兵衛と蝉時雨のレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.7
アメリカン・プロメテウス

底無しの欲望、権力への意志、闘争本能、共同幻想、etc...

人類の性質

有史以来真っ赤に染まり続けて止まない我らの足跡
時は巡り、78年前のピカドン、人類史上最悪の無差別大量殺戮事件の惨さ
そして、相も変わらぬ我らの血みどろの現世

人間の暴虐さ
人間の愚鈍さ
人間の無知さ
我ら人間の、、、

原初から終焉まで首尾一貫されるであろう、人類のこの地獄絵巻、そのひとつの要の絵図

被曝体験者、引いては世界大戦体験者、彼ら彼女らが少なくなった今の時代、風化しつつある人類の重要な歴史の一部を、改めて世界に提起したこと、これにはあれこれと思いが巡る

しかし、娯楽要素がふんだんに盛り込まれた、ある意味奇妙なこの姿は、昇華とも言えるのかもしれないし、退化とも言えるだろう

それはさて置いて、
オッペンハイマーの主観的な感情描写の驚くべき映像表現を筆頭に、素晴らしい映像表現の数々には目も耳も大きく見聞き開いた

ここから始まる仁義なき闇市、
そして、対岸で涙した”はだしのゲン”の姿も思い出さずにはいられない