えくそしす島

最愛の子のえくそしす島のレビュー・感想・評価

最愛の子(2014年製作の映画)
3.6
【一人っ子政策が齎らす闇】

監督は「ラブソング」や「ウォーロード/男たちの誓い」のピーター・チャン。

人口が爆発的に増加した中国では1979年から2014年まで、原則として夫婦1組に対し子供を1人までとした「一人っ子政策」を実施した。
それに伴い、年間20万人にも及ぶ人身売買の為の児童誘拐事件が横行。これは実話を元にした中国映画だ。

皆が知っている政策だが、より詳しく知りたい方は、その実態を浮かび上がらせた「一人っ子の国」というドキュメンタリー作品を勧める。

あらすじ
中国の街中で3歳の息子ポンポンが、突然姿を消した。両親は、様々な手段を使って必死に息子を探すが、その消息は全く掴むことが出来なかった。微かな希望を胸に息子を探し続けた両親は、3年後のある日ついに見つけるのだが…

育ての親と実の親、両者にとっての

「最愛の子」

子供の感情
記憶から消えた生みの親
愛情を注がれた育ての親

親の感情
死に物狂いで見つけた我が子
突如引き剥がされる育ての親

担い手や貧困、男尊女卑の問題もある。特に農村部では顕著に現れる。

一人しか授かれない

もし男の子だったら
もし女の子だったら

欲しい
要らない

そして、授かれない人

我が子に損得や優劣という観念を助長し「政策として」埋め込まれてしまったが故の社会問題。

政策自体もそうだが
本当の闇は、已む無く受け入れた筈が、いつの間にか当たり前となり正常な思考が出来なくなる事かもしれない。

中国を取り巻く問題と親の愛という普遍的なものを合わせ視聴者に突きつけてくる。

物語としては、人によって行き過ぎた行為と思うだろうし、演出もやや過剰だ。

だが

ここまで!のように我が子に対する愛情のラインなんてものは存在しない。

場合によって、状況によっては、軽く上限をぶち破る。歪んだ描写ではあるが「母なる証明」にもそれは言える。

ただ、我が子と居たいだけ。何を差し置いても、何を犠牲にしても。

これは当時の中国の現状と環境が生んだ「闇」に翻弄される悲劇だ。


ネタバレ欄にて印象に残った場面を追記