【源流】
海外にまで旋風を巻き起こし、一大ジャンルを築いた日本のホラー映画群。
通称
「Jホラー」
日本のおどろおどろしい怪談的な恐怖映画はいつから今のJホラーへと変換していったのか。その起点となった作品とはなんだろう。
「邪願霊」「ほんとにあった怖い話(霊のうごめく家)」「女優霊」「リング」「呪怨」「降霊」
違う。
その転換点となった作品、それが1961年のイギリスのゴシックホラー
「回転(The Innocents)」
監督:ジャック・クレイトン
脚本:トルーマン・カポーティ
ウィリアム・アーチボルド
原作:ヘンリー・ジェイムズ の小説
「ねじの回転(1898年)」
あらすじ
郊外の屋敷で暮らす幼い甥と姪の家庭教師として採用されたミス・ギデンス。雇い主である叔父(貴族)からの要望は、私の手を煩わすな、何があっても報告をするな、自分自身で問題を解決をしろ、との事。そして、屋敷を訪れた彼女はある日、こちらを見つめる“人影"を目撃するのだが…。
<ただ幽霊が立っている>
今でこそ「Jホラー」でよく見かける定番の手法。たったそれだけで恐怖を演出し、人の内面的な恐ろしさをジワジワと炙り出してくる。疑念や虚実をも問いかけてくる。
その今の「Jホラー」の礎を築いてきた人たちがこぞって“影響を受けた"と公言しているのが今作。
有名な古典的幽霊小説
「ねじの回転」の映画化
古典といっても分かりやすい幽霊譚とは一線を画す。今観ても人それぞれ解釈が大きく変わる、どころか“反転“や“回転"する作品でもある。ハイ、好き。
古い屋敷。幼い男の子と女の子。使用人。過去に居た前任者の家庭教師と従者の存在。そして、子供たちと連動するような不可解な現象。
最初は何も考えずに「ふーん」と観ていたが、少しずつ違和感が大きくなってくる。言葉と描写。関係性と関連性。現在と過去。そして、幽霊の存在。
幽霊に取り憑かれているのは誰
狂気に取り憑かれているのは誰
欲望に取り憑かれているのは誰
『そもそも幽霊は
い る の か』
自分なりの「もしかして」に辿り着いてからは…ヤバい。なんだこれ。うっわ、気持ち悪いなコレぇと唸ってしまった。
あとをひく妄想
あとをひく疑問
あとをひく推考
その代わりに、派手なホラー演出や謎をスッキリ紐解くような物語を期待する人にはまず合わない。あるのはただ、捻じ曲げられた虚実の狭間を突きつけられて回る物語。
疑念が回る。解釈が回る。恐怖が回る。
くーるくーるくーる
くーるくーるくーる