女

最愛の子の女のレビュー・感想・評価

最愛の子(2014年製作の映画)
4.0
手をつなぐ場面、
桃のくだり、
眠る最愛の息子を抱えて歩く姿…
どれも違和感が胸を締め付けてきて、どうしたらいいのか分からなくなりました。
次から次へと、なだれ込むようにやってくる展開に、「あーっ、うわ、あーっ」と声を出しながら観賞していて。“最愛の子”がいなくなった、そして…の映画。130分がこんなにあっという間なのは久しぶりでした。
あぁ。し、しんどい…。

実話を元にした話。
段々何が正義なのか分からなくなってくる。前編・後編みたいに、捉えている対象の視点が変わるから、途中まで一緒に抱いてた価値観が揺らいで、その脆さと不安定さを再確認させられる。
登場人物の中だと、ハンさんの存在が絶妙な立ち位置で…でも、前に進むことを恐れなかった勇気に感服する、というか。彼だけではなく、描かれていた人達は誰ひとりとして逃げていなかった。そこが大きな救いで、裏切られなかった。あぁ、良かった。

あと、詳しくはないけど、撮り方が好みだった。ぐーーーっと進んだり引いたりする画は心地がよく、電線越しや、塀?越しに撮るのもツボ。こんなに辛いのに、目が離せず、きれいだった。


終わりに入れられたドキュメンタリー風の映像は、実話であることを示す上で必要不可欠だったのかもしれないけど、好みかどうかは別にしても、おかげで、少しだけハッピーエンドに向かえたと思う。
映画として、モヤモヤとした説得力が抜群の作品で、とてつもなく大きな、それこそ「戦争をやめよう」ぐらいの、ビッグテーマを投げかけられた気になって、今わたしが出来ることを考え中。何も無いかもしれないけど。
…ほんとに良作だったと思うの。
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