Finn

たかが世界の終わりのFinnのレビュー・感想・評価

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)
3.4
グラヴィエ・ドラン監督が、家族のしがらみや歪みを描く会話劇。

私自身は感情的に大声を上げる人が、それが自分に向けてのものであってもそうでなくとも大の苦手なので、お兄さんやお母さんが捲し立てるシーンはビクビクしっ放しで苦痛だった…。
ただラストに向けて観ていくと、家族全員がそれぞれ長年抱えてきたものがあって、それ故に態度に出てしまうっていうことも分かってくるから最後まで見続けられました。

12年間も音信不通だったルイに家族としての役割や責任を押し付けようとする母、ほとんど記憶のない兄に憧れる妹、それに対して複雑な気持ちを持つ兄…そしてそれを冷静に見つめる義姉。
ルイが家族に自分のことを伝えたくて帰ってくるんだけど、ルイと話すことで家族がルイにそれぞれの胸の内を明かしていくっていう構図が面白いなと思った。

「理解できないけど愛してる」
家族ってまさにこれだよなぁって、自分と家族のことを考えて腑に落ちた。生まれてから死ぬまでずっと続くものだけど、家族だからってお互いを理解して優しくできるわけじゃない。家族って難しい。

最初と最後に流れる曲の歌詞にグッときたし、途中の回想シーンのドラン監督らしさ全開の映像美と音楽に魅力された。

たった5人しか出てこないけど、役者陣の圧倒的なお芝居に感動!特に表情から見える感情がすごい。
ギャスパー・ウリエル、やはりすごい俳優さん。もう新しい作品を観れないと思うと残念です。ご冥福をお祈りします。
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