銀幕短評(#731)
「たかが世界の終わり」
2016年、フランス/カナダ。1時間39分。
総合評価 84点。
この映画を形容することは むずかしいですね。観てくださいというほかはない。あるいはすべてを語るしかない。
ことばを一時しのぎとして発することはできるかもしれないけれど、素直によろこぶきもち、相手を思いやる気持ち、こちらから寄りかかりたい気持ち、かけがえなく感ずるきもち、別れをこらえるきもち、これらのほんとうが入り交じるでしょう? それは くちから発することばだけには とうてい乗せられないでしょう? 目を見かわすでしょう? 表情をたどるでしょう? ときに抱擁するでしょう? それよりも つよいのはこのふたりです。ひたいをじっと寄せる母と子と。たったひとことで すべてがじゅうぶんつたわる。
わたしたち日本人は そうたやすくは抱擁しないですね。ほんとうの特別のために取ってあるのかなあ。