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たかが世界の終わりのcardamonのレビュー・感想・評価

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)
3.4
戯曲が原作とのこと。息詰まるような濃密な家族劇に終始目が離せなかったが、その分どっと疲れた。

当代フランスを代表する俳優達の演技のぶつかり合いが見どころ。特に兄役のヴァンサン・カッセルが凄まじい。アントワーヌとルイ、恐らく子供の頃は仲の良い兄弟だったのではないかと推察。12年振りに会う弟への複雑な感情が推し量れる。母親の愛が自分に対してよりも深い事、劇作家としての成功への嫉妬心、長期間帰って来なかった事への怒りなど、様々な感情がない混ぜになっているのでは?でも根底では愛しているのは伝わって来る。もしかしたら彼は弟が帰省した理由を、いち早く察したのかも知れない。それ故の冷たい態度だったのだろうか。そんな悲しい話など聞きたくない!と……見ていて胸が苦しくなった。

受け手によって様々な考察が出来る作品だと思う。それと、兄嫁がルイに向けるひたすら慈愛に満ちた眼差しなど、登場人物それぞれの視点から捉えるのも興味深い。個人的にも、もう一度観たらまた違った感情を抱くかも知れないが、重過ぎてしばらくは観たくないかも……
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