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たかが世界の終わりのmのレビュー・感想・評価

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)
4.7
『家族という他者』同士の間で巻き起こる感情の乱気流。その様を徹底した役者の顔のクローズアップの連続によって描き出す。フランスの名優達による細やかな表情芝居の寄り画連打は濃厚で、全編息詰まる緊張感が漲る。

音楽や映像のギミックを最小限に抑えた結果、ドラン作品の中では最も役者の芝居にシンプルに、真正面から向き合った作品になっていた。ある意味今までで一番才気迸っていない(良い意味で)。

監督の期待に応えて俳優陣が皆素晴らしく、特に女優達が印象に残る。
役者の顔をどんな画角でどんな光を当てて撮るのか、という技術面においても全カット優れている。

互いの本音を言い出せないまま致命的にすれ違っていく彼ら彼女らの心情には、どこの国でも変わらない身につまされる普遍性があった。
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