蒼井ことり

たかが世界の終わりの蒼井ことりのネタバレレビュー・内容・結末

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

死が近づいた青年が12年ぶりに帰郷する。
登場人物は、青年、母、兄(老けてたので父かと)、兄嫁、妹の5人だけ。
カメラが息苦しさを感じるくらい寄りのショットで、ほとんとがバストアップ以上。とある機能不全家族の、ごく小さくて、とても狭い物語であることを強調しているカメラワークだと分かる。
私はスクリーン越しにこの一家を覗き見してると言うよりも、あたかも登場人物の背中越しに立って、同じ部屋や車内にいるくらいの距離感だった。
“家族だから仲が良い”だなんて家族神話”だと思ってる私は、世の中うまくいっていない家庭のほうが多いのかなあと考えさせられる。実際、いちばん穏やかな関係だったのが、初対面であり、唯一の“他人”である兄嫁とだし。
人間って1人で生きられない割にエゴの塊だから、近すぎると衝突する。ある程度距離があるほうが円滑になるんだと思う。
ホントにこんなオシャレな台詞言う?とツッコミ入れたり、いちいち喧嘩になるけど、無理やり喧嘩させてる感じががちょっと違和感。
でも、少ない人物と変わらない舞台で約2時間の映画を撮るってすごい力量だと思う。なつかしい感じのポップスや、小物の使い方もセンスある。若い人が作った映画だなって思う。フォトジェニックなグザヴィエ・ドランが主演すればいいのに裏方(?)に徹して欲がないな、などと素人考えを思い浮かべてしまった。
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