青二歳

シャーリー&ヒンダ ウォール街を出禁になった2人の青二歳のレビュー・感想・評価

3.1
史上稀に見る可愛くないガールズトーク。お婆ちゃん2人の目下の話題は経済成長は必要なのか。原題"怒り狂う婆ちゃんズ(団体名)"。ケネディをリアルタイムで知ってて大恐慌時代さえ覚えてるアメリカン婆ちゃんの経済のお勉強。正直ウザいぞ、元気だぞ。
…アメリカ狂乱の時代から大恐慌に生まれたお二人。なによりも20世紀という歴史の大変化のあった時代、アメリカの経済成長の恩恵を受けアメリカンな消費行動をしてきた世代でしょうけどね。シアトル郊外でいいお家だし家族もいるし。

この企画はどこから始まったのか。ノルウェーの監督さんはこのお婆ちゃんをどこで知ったの?彼女らのアクションは本当に自発的な活動なの?と疑問。どうやら彼女たち、原題の"raging grannies"という活動家集団のメンバーなんですね。お婆ちゃんだけで構成されるこの団体…反核だけでなくテーマ広すぎて意味不明なグループなんですが…オシャレしてデモ(YouTubeにあり。オシャレさんで可愛い)だけが目的なんじゃあるまいな?って感じなくもないが…そこはまぁ突っ込まないでおこう…謎多し!
で、監督さんはこの元気なお婆ちゃんグループのドキュメンタリーを撮ろうと思って取材して、そんでもってこの元気な2人に絞ったみたいです。

衝撃の盗撮動画アリなのでそれだけはオススメですが、結局のところ彼女たちが目指す先って分かんないんですよ。よくよく見ますとね、彼女たちは資本主義の経済活動や消費を否定してる訳でもないんです。社会主義的な志向があるように見えますが目指すことはない。せいぜい経済成長を是とする価値観にアンチテーゼ掲げているだけなんですね。
…正直日本からすると今さら?という驚きです。日本は共産主義や社会主義を志向する人たちがまだまだ元気に言論空間で発言してますから、彼らの現実的でない雄叫びには辟易しますけど、左派だけでなくリベラルからも保守からも自由主義経済のいびつさ自体はすでにガンガン批判の対象になってるもん。
また清貧を良しとする風土もあるでしょうし、一生懸命稼ごう蓄えようって人は尊敬されるけど、度が過ぎると嘲笑されるし。たとえヒルズ族に負け組と罵られようと適度な生活水準で我が道を行く選択肢もある。社会保険、社会保障、(少子高齢化でガタが来てるとはいえ)社会的インフラもアメリカに比べたらアクセスしやすいもの。

正直、だから何が言いたいの?という内容です。でも、こんな事をアメリカでやっと言い出したのが注目されるの?っていうのが面白かったです。ただ活動家を普通のお婆ちゃんみたいな見せ方するドキュメンタリーの作りはいただけませんね。もちろん活動家も元をたどれば普通のお婆ちゃんですけどねー。どーかな。
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