猫脳髄

サクラメント 死の楽園の猫脳髄のレビュー・感想・評価

サクラメント 死の楽園(2013年製作の映画)
3.6
1978年にガイアナで起きたアメリカ発祥のカルト教団「人民寺院」の集団自殺事件を題材に、舞台を現代に置き変えたモキュメンタリー。

人里離れた地域で自給自足の生活を送る「エデン教区」に消えた妹を救出するという青年の依頼に、取材を兼ねて訪問したスタッフたちが目の当たりにした教団の狂気を撮影したドキュメンタリーという体で進行する。

冒頭はホラー・カルトにありがちな過剰な残虐性ではなく、現代生活に疲れた人びとが集う隔絶された平和なコミューンとして描かれるが、教団を率いる「お父様」(ジーン・ジョーンズ)の誇大妄想と同調圧力で集団自殺を強いられる人びとの葛藤が痛いたしい。

パラノイドはある種のカリスマ性を帯びているように見えるかもしれないが、その実、自らの狂気・認知の歪みに他人を巻き込む脅威である。「カルト」が再び世相を騒がせる現代、タイ・ウェストの必要以上に脚色しないリアリティに怖気が走る。
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