MasaichiYaguchi

ヴァレリアン 千の惑星の救世主のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.6
リュック・べッソン監督が長年の悲願を結実させた本作はイマジネーションとファンタジーに溢れ、その美しい映像で我々を圧倒する。
映画の舞台となっている巨大宇宙ステーション・アルファには人類をはじめとして多種多様な宇宙人たちがいて、恰もそこは多種多様な人種や民族が住む地球のようだ。
アルファでは夫々の種の特性に合わせてエリアが構成されていて、それがパズルのピースのように組み合わされて巨大な共同体になっている。
ところが、アルファの最深部に謎のレッドゾーンが現れて不穏な様相を呈した矢先、大事件が勃発する。
アルファを統治するフィリット司令官を巻き込んだ事件は、主人公ヴァレリアンと相棒ローレリーヌを搦め捕って翻弄していく。
この一連の騒動には滅びた惑星ミュールのパール人と、ヴァレリアンとローレリーヌが苦労の末に奪還した「変換器」が関わっている。
ヴァレリアンとローレリーヌは悪戦苦闘の末に事件の核心に迫り、そこで意外な事件の背景や真相に辿り着く。
この映画の原作コミックは「スター・ウォーズ」に影響を与えたと言われていて、本作に登場する宇宙人やガジェットの造形が「スター・ウォーズ」に登場したものと似ているが、パクリと言うより「先祖返り」なのかもしれない。
おもちゃ箱を引っ繰り返したような印象を受ける本作だが、排他主義が世界的に蔓延している今の風潮に対するリュック・ベッソン監督の強い思いが芯にあると思う。