Kz氏

キル・ビル Vol.1のKz氏のレビュー・感想・評価

キル・ビル Vol.1(2003年製作の映画)
3.8
「キル・ビルVOL.2 」と同じ。

「クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男」にインスパイアされて、タランティーノ作品を見返す。

千葉真一も登場するVol.1のオーレン・イシイとの対決は「修羅雪姫」だし、VOL.2のパイ・メイ師の修行シーンには70年代のジャッキー・チェンが出てきそうだ。ショウ・ブラザーズ社ロゴマークで始まるのがサインで、無数のオマージュに満ちた、東洋びいきのB級映画オタクの映画。

…であるには違いないのだけど、それはタランティーノのファン・サービスで、昔のジャンル映画のリブートを目指したのではないと思う。
本作は復讐劇で、「ハムレット」や「モンテ・クリスト伯」を代表作として、演劇・映画に定着したモチーフだ。タランティーノは「古典」に挑戦したくなったのではないか。
だから、物語は直線的で、ビルの暗殺集団メンバーのキャラクターが肝。エキセントリックなメンバーに惹きつけられるが、中流家庭主婦のヴァニータ・グリーンやホワイトトラッシュのバドの方が、悲劇的で心に残る。復讐劇は悲劇に分類されるらしい。
…劇伴のせいかもしれないが、VOL.2に何となくマカロニ・ウェスタンのテイストを感じたので、そんなことを思った。

本作は4作目で、6作目が、ユダヤ系部隊がナチを虐殺する、マカロニ・コンバット「イングロリアス・バスターズ」、7作目が、黒人ガンマンが白人領主一家を皆殺しにする、マカロニ・ウェスタン「ジャンゴ 繋がれざる者」だ。
Kz氏

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