患者の隔離や矯正を意図した精神病院そのものを違法としその廃絶に尽力したフランコ・バザーリアに捧げられている一本。患者個人で無く施設ないし社会そのものの病理と見て、一方的に「狂人」のレッテルを貼られた患者を再度「人間」として見つめ直す。収容所同然であった施設の窓や扉は開け放たれ、社会との間にある壁は取り壊される。と言うお話であるが、最終的には「労働は人間を家畜化する」とアゴスティのお馴染みの理想に着地する。まぁ凄く普通の映画ですね…これと言って特に…。タイトル通り影が多用されている。

シルヴァーノ・アゴスティ特集@バウスで見た。精神病院を改革しようという人の話だった記憶があるが、なんかTV番組の再現VTRレベルな感じ。

全体に抑えたトーンで、ひとり一人の演技が光り、忘れられない佳品と思う。
バザーリアの功績よりは、
そこにいることが大切、という心の繋がりに重きが置かれているようだ。美しい画面、誠実なカメラ、カトリックなど、イタリアらしさが溢れている。