オプティマス

タルーラ 彼女たちの事情のオプティマスのレビュー・感想・評価

タルーラ 彼女たちの事情(2016年製作の映画)
4.7
この作品の主人公はタルーラですが、本編の全体的な主人公は「女性」という大きな括りに分けられていると思いました。メインはタルーラですが他2人の女性にも焦点を当てています。それは世代にも分けられていました。全く別な不完全な人間でありながら悩みという部分では共通しています。本作の裏には家族や母親というテーマがついていました。序盤のタルーラは盗みを働くなど良い印象がありません。でもその背景には家庭環境がありました。理解できなかった行動も背景を知ることで同情してしまいますし、赤ん坊も自分と類似していると感じたのでしょう。ただ居場所も心も彷徨って生きているタルーラが衝動的に赤ん坊を保護しました。彼女にとってはあくまで誘拐ではなく保護です。なので途中マーゴ宅に置き去りにし逃げようとしますが彼女の中で安全だと判断したのだと推測します。ダメダメなキャラではありますが、愛もありますし、自分は何も出来ないけど助けたいという不安が絡み合った正義もなんだか好きになります。最後の笑みも人の為に行動した嬉しさもあったのではないでしょうか。
酷いキャラクターでもクズだなと思うことはありませんでした。皆大きいものから小さいものまでそれぞれ事情や問題や葛藤を抱えています。外見で判断した私も彼女らの物語を知ることで応援しキャラクター達を好きになれましたし、それらの事情を理解することが出来ました。
期待して見た結果が期待を大きく越えていったこの作品は良い映画体験のひとつです。シアンヘダー監督は好きな監督の1人ですし、エリオットペイジの演技にも圧倒です。素晴らしかったと思います。