けんけん3号

タルーラ 彼女たちの事情のけんけん3号のレビュー・感想・評価

タルーラ 彼女たちの事情(2016年製作の映画)
3.7
「コーダ〜」の監督作品が配信にあったので期待をして鑑賞。個人的には満足な作品だった。登場する3人の女性にはそれぞれの抱える事情があり、それに向き合うことに気づかせてくれるという話。ルーが赤ちゃんを誘拐して、元彼の母親のマーゴを頼ることでドラマが生まれる。マーゴは突然現れた孫、そしてルーの突拍子もない行動に自分が固執してきたものの無意味さに気づく。赤ちゃんの母親のキャロラインは娘がいなくなり、自分の立場が脅かさること、自分では判っていた様々な想いに正直になる。ルーはルーで、辛い生い立ちがあり、衝動的に赤ちゃんを誘拐して、自身の中の母性と愛されたいという気持ちに気づいていく。この女性たちの会話がやけに現実的で、抱えている孤独を炙り出す。彼女たちの個々の問題は誰でも悩んでる様なことである。でも内容はけっこうヘビーで難題。実際の人生も大なり小なり色々あるよね〜。それを赤ちゃんを軸とすることで、かけがえのないものの大切さに気づき、そして向き合っていく決意にいたる。その心の変化がエレン・ペイジ、アリソン・ジャネイ、タミー・ブランチャードの演技で絶妙に描かれていると思う。そこまでシリアスではなくコメディ寄りでもない、いいさじ加減。ラストもハッピーじゃないが、オープニングとラストの浮遊の意味も変化しているのも上手いし、なんとなく希望が伺えるのもいいかな。エレン・ペイジの演技を観ると、改めて、エレン・ペイジのままでいて欲しかったなぁ~と思ってしまった。