みんと

グランドフィナーレのみんとのレビュー・感想・評価

グランドフィナーレ(2015年製作の映画)
4.7
とてつもない芸術性、とんでもなくキレのある映像美、加えて重厚感と哲学性。どれを取ってもドンピシャ好みの作品だった。

そもそもソレンティーノ作品に理解なんて求めてなくて、迸る芸術性を楽しもうくらいの気持ちで観たらある意味裏切られた。

勿論、全てに答えを差し出すような安易な描き方はしない。すんなり理解出来たかと思えば絶妙に煙に巻く…
ただ、映像センスとワードセンスはやはり神レベルだった

豪華キャストで描く群像劇の趣の中でメインの二人のおじいちゃん(マイケル・ケインと ハーヴェイ・カイテル)のいぶし銀の演技が冴え渡る。絶妙に挟むユーモアには頬が緩む。

とにかく印象的なシーンと名セリフが溢れかえり1度観ただけじゃとても記憶出来ない座右の銘レベルの名言達。

そして、メインストーリー以外の小エピソードさえ緻密に練られ巧妙に絡み、混じり、あらゆる視点から人生哲学に触れる。
明らかにマラドーナを連想するキャラクターもジェーン・フォンダの存在感も印象的。勿論レイチェル・ワイズの娘としての葛藤も素晴らしいし、ポール・ダノのヒトラーのくだりも良かったなぁ…

人生の大団円。老いの先に きっと誰もに立ちはだかる葛藤とか後悔とか…泥臭さや等身大という意味では一般的とは言い難いけれど理解は出来る。ふむふむ納得の感情達に自分の未来を重ね合わせる事も出来る。


そして、ラストで歌いあげる“シンプル・ソング”が沁みる沁みる。
みんと

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