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サウルの息子のDAIのレビュー・感想・評価

サウルの息子(2015年製作の映画)
3.8
ハンガリー出身のネメシュ・ラースローがメガホンを取り、強制収容所に送り込まれたユダヤ人たちがたどる壮絶な宿命に迫る感動作。仲間たちの死体処理を請け負う主人公が、息子と思われる少年をユダヤ人としてきちんと葬るために収容所内を駆けずり回る2日間を活写する。主演を務めるのは詩や小説も手掛けるルーリグ・ゲーザ。第68回カンヌ国際映画祭にてグランプリに輝いた、ホロコーストの過酷な現実を描いた物語に言葉を失う。

いずれ自分も殺されるという状況の中、
強制収容所で同胞の死体処理など強制労働させられる。
分かってはいても悲惨な現実に目をそむけたくなる。

特にこの作品は焦点をボカす事によって、
具体的な虐殺シーンや、ショッキングなシーンをうつしてない。
でも逆にそれが想像する事によって、その状況が伝わってしまう・・・

息子 をきちんと埋葬したいがために、仲間のユダヤ人が
「生者より死者を優先するのか?」
っていうセリフがスゴい心に残った

でも主人公はもう生きる事を諦めてるんだろうなと。
だからせめて死後の世界にちゃんと旅立てるように、
どのようにして死ぬのか、ちゃんと弔うという事に固執してたんだと思う。
もう自分たちはどうせ死ぬのだから。
恐ろしい死体処理をずっと繰り返してきてるからこそ、
精神状態がそのようになったんだろう。

最初から自分が生きようってエネルギーがなかったから。

ホロコーストを描いた映画って名作が多いけど、
シンドラーのリストとかライフ・イズ・ビューティフルとか、
この作品も深く突き刺さった作品でした。
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