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サウルの息子のalsyのレビュー・感想・評価

サウルの息子(2015年製作の映画)
4.0
この映画を観ると1日中気分が沈む、と言われたがそんなこともなく。

サウルの顔のアップとぼやけた背景でゾンダーコマンドを描くという撮影方法が、単純に演出として上手いですし、サウルの心象表現にもなっていて、アウシュビッツの非道さとそこで働くゾンダーコマンドを描く上で最適な方法だと思う。

サウルが無表情のままぼやけた何かをじっと見ている。それだけでなにを思っているのかは痛いほど伝わってくる。
さらによく見えない分、音が異様に生々しく聞こえてきてこれまた効果的。

しかし欠点もあり、カメラが顔に近すぎるため、今どこにいるのか、道を左に曲がったのか右に曲がったのか、立ってるのか、かがんでるのか、が若干わかりにくい。
ずっとアップだと疲れるうえに、展開がわりと唐突なのでストーリーについて行けない部分もあった。

アウシュビッツのことは詳しく知らないし映画もこれしか観てないので何処までリアルなのかわかりませんが、何ヶ所か殺されてもおかしくないことが普通に許されている場面があり、納得できなかった。

前半だけのショートフィルムとかだったら、ストーリー的には物足りないけど、そっちのほうがよかったかな、と個人的には。
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