しん

ロブスターのしんのネタバレレビュー・内容・結末

ロブスター(2015年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

1人か2人か。ホモかヘテロか。26cmか27cmか。
この映画の描く世界は"独身を許さない社会"というよりは"中庸なスタンスを許さない社会"というように受け取りました。グラデーションが存在しない社会です。多様性を受け入れない社会といってもいいと思います。
そういった極端な世界に生きていくと、人をありのままのその人として見れなくなるんですね。動物はその象徴で、種として判別することがほとんどです。牛、豚、馬、ロブスター。
カテゴリーでしか見れなくなった人たちは、記号としての共通点を執拗に求めます。髪が綺麗なヒト、鼻血が出やすいヒト、近視のヒト。
ラストシーン主人公は失明したのでしょうか。僕と君は違うけど、それでも愛してる。と言えていたらハッピーエンドですね。同じになる必要はないんですから。
現代社会への風刺が素晴らしい、改めて考えさせられるメッセージでした。


演出もかなり好みで、わざとらしい大袈裟な音楽ですが画作りは非常に静的です。役者の演技もほとんど棒読みで、様々なミスマッチによる世界観が作家性を表現していたと思います。
ブラックミラーや星新一の小説のように、シュールレアリスム的表現ですがテンポも良い、素晴らしい作品でした。
しん

しん