Yusuke

ロブスターのYusukeのレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
5.0
この映画は「日常」しか撮ってないのがすごい。ただし、映画の世界の常識、ルール、価値観は、観る側のそれと少しずれている。その「少し」でこんなに面白くなるのかと思うと、脱帽です。

1番やられたのは、物資を揃えるためとリーダーの家族に会うために4人で街に繰り出すシーン。ただスーパーに行くだけなのに、それまで観てきたこの世界の常識からずれてる行動をとっていることがわかり、緊張感もエクスタシーも生まれていた。無機質な街の感じもすごくいい。どの会話も1個考えないと意味がわからないような、集中していれば付いていけるスピードというか、ちょうどいい温度。

あとは、主人公が森であった近視の女の人が、リーダーに目を潰されるシーン。謎に理不尽を受け入れるのは、この世界の常識なんだけど、「なぜ彼じゃないの?」の質問をしたこと。そして、その出来事の後に何も知らない主人公に会ったときに責めなかったこと。この世界の人は瞬間的に生きてていて、過去現在未来が繋がっていないのかなと思った。近視の女の人の固有の性質なのかもしれないけど。
Yusuke

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