千利休

ロブスターの千利休のレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
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恋愛も皮肉も映画において重要な要素であるが、本作はその両方にさらに斜め上から皮肉を浴びせている。とにかく皮肉のボディブローを浴びせてくるのがランティモス作の特徴であるが、もはやなにを真摯に受け止めるべきか分からなくなってしまうほどである。しかしそれらを完全に他人事だと思わせない点は、キューブリックら巨匠と類似する偉大さがあるのではないか。技術的な面では、前作と同様に登場人物に名前がないことが監督の世界を創りあげるのに特に寄与していると思う。とにかくマクロなレベルでの恋愛の脆弱性を描いた作品にはほとんど触れたことがなかったゆえ、本作はとても新鮮に感じた。個人的に、男女で共通点がなければカップルにはなれないという設定には違和感を抱いたが、それすら監督の狙いなのかもしれない。人生最後の日に「スタンド・バイ・ミー」を観たいというのは流石に皮肉ではないことを願う。

http://www.ele-king.net/review/film/004996/
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