Omizu

人生タクシーのOmizuのレビュー・感想・評価

人生タクシー(2015年製作の映画)
4.5
【第65回ベルリン映画祭 金熊賞】
軟禁状態にあったイランの名匠ジャファル・パナヒ作品。監督自身がタクシー運転手に扮し、人生の悲喜こもごもを切り取っていく。

素晴らしい!これだよ今金熊賞受賞作品として観たかったのは!タクシーの中からほぼ出ないにも関わらず全く飽きることのない卓越した技術で紡がれた人生賛歌。

イランで上映許可が出されるには色々と条件がある。女性はスカーフを被り髪は隠す、暴力シーンはNG、俗悪的リアリティの禁止など。パナヒは政府がNGとする条項を次々と破っていく。

穏やかな映画であり、辛いと感じさせない。にも関わらず「これが映画だ!」と言わんばかりの反政府メッセージ。

編集が本当に素晴らしく、パナヒの姪が持つデジカメとの切り替えにはハッとさせられた。

パナヒ自身の大らかで穏やかな性格、そして秀逸な編集、繊細な演出がバッチリ決まっている。こんな映画パナヒにしかつくれない。本作に金熊賞をあげた英断に拍手したい気分だ。素晴らしい。
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