人生タクシー(2015年製作の映画)

Taxi

上映日:2017年04月15日

製作国:
  • イラン
  • / 上映時間:82分
    監督
    ジャファル・パナヒ
    脚本
    ジャファル・パナヒ
    キャスト
    ジャファル・パナヒ
    あらすじ
    監督自身がタクシー運転手に扮し、テヘランの街に暮らす乗客達の人生模様をリアルに描き出す、勇気とユーモアに満ち溢れた、新たな傑作の誕生!映画を愛する人、ものづくりに関わる人、そして壁に立ち向かうすべての人々に贈る、奇跡の人生讃歌

    「人生タクシー」に投稿された感想・評価

    「これは映画ではない」映画。









    巧妙に作り込まれたフェイクドキュメンタリー。長年の迫害に対する監督の強いメッセージが込められている。登場人物たちの言葉が痛烈に批判し続ける。



    パナヒ監督の映画愛が世界中を突き動かした。



    表現の自由……一瞬にして奪われる時代がくるかもしれない。
    この監督さんを心より応援します!
    イランの体制が少しでも変わり、自由に映画が作れますように!
    とりあえず記録だけ
    自らが置かれた不条理、制限された状況を逆手にとった、パナヒにしか撮ることのできない快作。この手のメタフィクションに慣れきった観客に対する不意打ちもちゃんと用意していてニクい。特筆すべきはやはり映画監督を志す姪のエピソードで、イラン国内で映画を撮るということ、観客に見てもらうことについて自己言及的であり、また、映画のウソに自覚的である。技巧や方法論的な面白さだけでなく、イランの人々の置かれた社会状況を克明に映しつつ、希望としてのバラを添えることも忘れない。
    今年見た中でいちばん面白かったかな
    国家から映画監督の資格を剥奪されたイランの名匠パナヒ監督自らがタクシー運転手に扮し、乗客との会話をもとに現在のイランの問題を浮き彫りに。初めて見るテヘランの街も雄弁饒舌な女性達も他の国と変わらなく見えるのに、根本的相違から見える閉塞感が端々に…
    事前情報全く仕入れてなかったので、しばらくはドキュメンタリーかと思って見ていたけど、脈絡がないように見えて上手く繋がっていたので「ああ、こういう作りなのか」と納得した。

    ずっとテヘランの町をタクシーで移動するのだけど、それが物珍しくて乗ってくる人々や監督(タクシーを運転していた)に注目しなくてはと思いつつもついつい流れる景色や町を歩いている人々を目で追ってしまった。

    政府から創作や言論の統制を受ける国の姿は、他人事のようには思えず。
    そうなってもやっぱり、庶民はたくましく生きてはいくんだろうけど。
    これはモキュメンタリー…?

    内容はとても明解で、違う場面の乗客なのに同じテーマについて違う意見を口にしていたり、問題提起をしてきたりして、映画とは、ひいては表現とはなんぞや、というような一本の太いテーマを内側に潜めているような感じがする。
    ただし、ダイレクトに俺はこんな映画を作るんだーい、みたいな映像ではなく、たまたま乗ってきた赤の他人の一意見なんだけどね、みたいな撮り方は、ウィットに富んでいて、監督がユーモラスでおちゃめな賢いひとなんだなと

    横文字が多くなってきてルー大柴みたいになってきたので、ここいらで終い。
    撮影方法も内容も興味深く、気に入りました。
    ・・・なるほど。

    政府に対する反体制的な活動を理由に20年間映画撮影を禁止されている、イラン人 ジャファル・パナヒ監督。

    そんな彼が挑んだ「作品」。
    監督本人がタクシードライバー扮して、車載カメラを使ってタクシーの利用者と監督のやりとり、利用者同士のやりとりを通してイランの実情を伝えようとしている作品。

    映画撮影はダメだから、単にタクシーの車載カメラを使って車内の様子を撮影しただけのシーンの連続。懐疑的な目を持つ人には「やらせ」にも思える場面もちらほら。

    僕の目にはそう映る。

    でも映画じゃない。
    ・・・映画じゃない。

    そう言い張ってもイランではもちろん放映不可。

    他国の業界団体やアーティストたちなどのサポートもあり日本やドイツ等数ヶ国で公開に辿り着く。

    そんな作品を通して伝わってくるメッセージ。

    ①情報統制
    ます何より映画撮影を禁止されてるジャファル・パナヒ監督自身の境遇からも政府に都合の悪い描写は厳禁であることが分かる。

    そして作中では学校まで迎えに行った姪っ子が学校の課題として出された映画作りのテーマを説明しながら、イランにおける映画製作の不可思議な制約が明らかになる。

    ②死刑制度
    作品冒頭の2人の乗客の強盗に対する死刑制度の是非に関する議論、そして知り合いから強盗被害を受けた古い友人に持ちかけられる相談。

    この2つの場面から伝わるのはイランでは近年強盗、盗みにより死刑が執行されるという事例の発生と、その重い刑罰があるが故に余計に苦しむ被害者たち。

    ***
    でも作品全体を通して感じるのは何も負の感情ばかりではない。

    厳しい情報統制下で、欧米の映画のDVDを密売しながらたくましく愉快に生きているおじさん、現体制に対して活動を続ける明るく知的な女性、不幸な事故で大怪我をした男性は万が一のために妻に遺産相続するための遺言をiPhoneを使って撮影したり…。

    少しコミカルな場面もあったり、登場する人物の多くは意外と生き生きしてるように僕の目には映った。

    イランの本当のところを知るには、実際に足を運ぶしかない。一度は足を踏み入れたい。
    イラン政府への反体制的な活動を理由に、2010年より“20年間の映画監督禁止令”を受けたジャファル・パナヒ監督自らがタクシーの運転手に扮し、個性的な乗客が繰り広げる悲喜こもごもの人間ドラマを車載カメラで撮影したもの。

    タクシーの乗客が勝手にしゃべるのを録画しただけで政府のいう映画ではないとして、イラン国内での上映を狙ったフェイクドキュメンタリー映画、だと思う。

    イランは相乗りが一般的らしい(乗客が相乗りをしたくない場合は、貸し切りの表示を出す模様)。冒頭、男性客が乗車した後に間もなく女性客が乗車し、2人が死刑制度をめぐって激しく言い争う。

    はじめは本物の乗客を撮影しているだけと観ていたので、イランの人って議論好きなんだね、とか思ったけれど、じきにこの映画はフェイクだよね、と感じる。

    イラン社会の現状や問題がわかるような会話や映像が盛り込まれる内容。タクシーの乗客の会話が大半で、話の内容についていけないこともあるから、睡魔が襲ってきて途中ウトウトしてしまったけれど、乗客を通じ表現される監督のメッセージはわかる。

    本編開始前に森達也監督と松江哲明監督が撮り下ろした短編映画(森監督作品が4分、松江監督作品が3分)の上映があった。自身に映画監督禁止令が下されたとして、どんな映画を撮るのかがテーマ。

    森監督作は「これは映画か映像か」で、松江監督作は「映画撮影を禁止されたとしても、どうしても撮りたいもの」ということだろう。この2作がまたイイ。短い映画だからこそかもしれないけれど、2人の個性が色濃く出ていて、全く違うテイスト。

    森監督は理屈っぽく、かつ、人を食ったような内容だし、松江監督はきっちり作り込んで、何回も観たくなる完成度。両作のおかげもあり本作を観た後、そもそも映画とは何なのか、考えさせられた。

    結局、映画って何でもアリじゃないかと。演劇や歌舞伎、能のように決まったカタがないから、映像を映画館で流せば、それは映画。映画館で流さなくても、お金を払って映像を観てくれる人がいれば、それは映画。お金をもらわなくても、観たいという人が1人でも観てくれれば映画なのかもしれない。

    ただ、なにも考えずに撮られた映像を流しても映画とは言えないだろう。大切なことは作った人の気持ちが入っている映像であること。そして、それを受け取る人がいてはじめて映画になるのだと思う(つまり映画を完成させているのは視聴者である俺?みたいな、ちょっと誇らしい気分)。

    2015年ベルリン国際映画祭で審査員長のダーレン・アロノフスキー監督が、「この作品は映画へのラブレターだ」と称賛したのは、この作品をイラン国民に受け取ってもらいたい、つまりイランで映画にしたいというジャファル・パナヒ監督の切実な願いが詰まっているからに他ならないだろう(かなり妄想が入っています)。

    さて、監督の思いがこもった本映像はイラン国内で上映され、映画となったのかどうか。ググればわかってしまうけれど、本作のラストでそのことが明かされるので、知らない人はそのことを考えながら観れば、寝落ちしないかもしれない。

    ●物語(50%×3.5):1.75
    ・企画は良い。ただ、内容は入り込めない部分もあり…。

    ●キャスト、演出(30%×4.0):1.20
    ・乗客が全員個性的で面白い。監督の姪っ子がナイス。

    ●映像、音、音楽(20%×4.5):0.90
    ・テヘランの様子を映しているのは貴重らしい。

    ●お好み加点:+0.2
    ・森、松江両監督のショートムービーが良いスパイスになっていた。特に松江監督の作品はお気に入り。
    >|