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人生タクシーのPのネタバレレビュー・内容・結末

人生タクシー(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

タクシーの車載カメラと姪のハンディカメラで、タクシーの中から撮影した映像だけで構成された映画。乗車してくる人やタクシーの周辺にいる人達の様子をただひたすら描く。彼らは皆、せこかったり、怒りっぽかったり、身勝手だったり、貧乏だったり、軽犯罪者だったり、低俗でリアルな生身の人間たちである。ところで、イランの映画上映許可規則では、登場人物は人々の規範となる聖人的な人物でなければならず(このことは、劇中で姪が映画の授業で習ったことを反芻する形で説明される)、低俗でリアルな人間を撮影し上映することは許されない。つまりこの映画は、「イランで上映してはいけない映画」そのものなのである。序盤は、やたらイライラする人間ばかり出てくるし、何の話なのかよくわからず、???という感じだったが、終盤にかけて意味が分かってくると、急に「なるほど!」となって楽しかった。

調べてみると、この映画の監督ジャファル・パナヒは、実際に20年間の映画製作禁止令を受けていたそうな。。。それを知ると、凄い映画だなあという気がしてくる。

イランの風俗が分かる描写もあって、そこも面白かった。例えば、
■道路がゴミゴミしている(途上国のイメージそのまま)。
■タクシーが相乗りであること。次から次に人が乗ったり降りたりすること。
■結婚式の場では、花嫁は白いドレスを着るし、参加者も白のスカーフ(ヒジャブ)を巻いたり花柄のタイツをはいたりすること。
■人々は、ある意味いい加減で意地汚く、ある意味ではおおらかで親切である(?)

冒頭、人情味のある(?)路上強盗が学校の先生と対話し、「子供たちと接するばかりで現実を知らない」批難する場面があるが、これはつまりか、監督の政府(映画協会?)に対する批難か。

最後のシーンは只の車場荒らし?それとも、服装がキチンとしていてSDカードを狙っていたことから、主人公を監視する立場の人間か。ところで、主人公と姪は一体階段の下に何をしに行ったんだろうか?
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