テロメア

アクアマンのテロメアのレビュー・感想・評価

アクアマン(2018年製作の映画)
4.0
ほぼ現代版アーサー王伝説でした。

黄金のフォーク(トライデント/三叉槍)を抜きに行く話と、潜水艦などと一緒に海底に積もった地上ゴミを大津波にて地上へ大量に返して「地上のゴミは地上まで持ち帰れやボケ!」というど正論で激おこしている弟王の話など盛りだくさん。一番はアーサーの両親の恋愛のところが好きだなぁ。

まあ、地上では海底に王国があるなんて知らないとはいえ、そこにゴミを投げ込まれたり(「我が海を汚した!」など、弟王のど正論祭りが楽しい)、クジラなどの家畜的なものを勝手に殺されたりしたら(地上だと訳分からん奴に牛や馬を殺されるような感じ)誰でも怒るだろうと。まあ、それが行き過ぎても「戦争だ!」とはならんのは現代人の考えであり、彼らは地上みたいに国家的なあり方を考えるほど、他国との戦争や外交や貿易や国交がなかったようで、未だに近現代以前の国家観ゆえに、何かあれば「戦争じゃ!」となるのは致しかなたない話かな。彼らが腹が立つのはど正論だし。

さらにアクアマンのアメコミでの衣装はどこで出てくるのかと思えば、ちゃっかり黄金のフォークと一緒に貰っちゃう辺り面白かった。個人的にはもうちょいフォークを取るときに、古代の王に対して敬意を感じる一言あってから抜けばよかった気もしたが、まあそこは真面目さよりコミカルさを優先したのだろう。まあいいか的な感じで。

なんだかんだ面白いのでザ・アメコミ映画でよかったかな。逆恨みマンタさんのはっちゃけバトルとか、弟王のこじらせバトルとか、みんなみんな認めてほしくて寂しい感じの承認欲求の塊魂で、転がった末の末路具合が一番現代っぽい。

現代人の承認欲求の末の横暴さ、それからの末路は今作のように諫めてくれる大人たちや任せられる次世代が不在の現実の悲惨さに比べたら、やはり近代以前の世界観のアトランティス王国なので、見守ってくれている大人はいるし、任せられるような次世代の英雄(ヒーロー)が現れてくれる。なので、アーサー王伝説のような王道の英雄譚でした。

ヒーローとしての誕生秘話で、アメコミが現代の神話を紡いでいる課程として、過去の神話や伝説を吸収していくのをリアルタイムで見られるのは、アメリカ神話の誕生に立ち会えるという現代人ならではの楽しみかと。

何も考えずとも見られる中世英雄物語の現代版であり、他のDC系の映画を観ずとも単体で出来ているので、広く気楽にお勧めできます。
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