MasaichiYaguchi

エベレスト3DのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

エベレスト3D(2015年製作の映画)
3.6
主演のジェイソン・クラーク、ジョシュ・ブローリン、キーラ・ナイトレイ、ジェイク・ギレンホール、サム・ワーシントンという豪華キャストで描かれるのは、1996年に起きたエベレスト大量遭難事故。
何故このようなエベレスト登山史上最悪な遭難事故が起きたのかを、史実を基に3Dのリアルな映像でスクリーンに再現していくのだが、素朴な疑問として「何故エベレストに登るのか?」と思ってしまう。
映画でも登場するが、「そこに山があるから」では、死と隣り合わせの登山への答えとしては軽過ぎて納得出来ない。
世界で一番高い所から景色を見てみたい、エベレストに登頂したという誇りや達成感、登山家として応援してくれている人々へ報いる為とか理由は夫々だと思うが、その代償は余りにも大きい。
この作品では、1990年代半ば以降盛んになった商業登山、プロのガイドやシェルパが全面サポートするアマチュア登山家たちの世界最高峰挑戦による悲劇を、彼らが登頂する理由を交えて様々な観点から検証する。
標高8,000m以上の“デスゾーン”と呼ばれる、酸素ボンベや体力、屈強の精神が無ければ死んでしまう領域が有り、ちょっとした判断ミス、情に流されたり、慢心からの油断が絶望的な状況に直結する神の山・エベレスト。
本作品に登場するアマチュア登山家たちの大半は、それなりに登山経験のある人々のようだが、プロのレベルからすれば足手纏いな存在でしか過ぎない。
そんな存在を神の山は容赦無く死の淵へ追い込んでいく。
上映時間121分でエベレスト登山を擬似体験出来る本作は、その体験とは裏腹にこの山の人間を寄せ付けない威厳のようなものを感じさせる。