o

オーバー・フェンスのoのネタバレレビュー・内容・結末

オーバー・フェンス(2016年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

原作を読んだので映画との違いを書き残しておきたいと思う。
映画では、さとし(蒼井優)はエキセントリックなキャラクターに描かれているけれど、原作ではそのようなニュアンスはなく、白岩(オダギリジョー)と出会う前にお互い結婚や出産をめぐっていろいろとあったことだけが共通点になっている。出会い方はキャバクラではなくて、訓練校で打ち解けた代島の紹介。
なので、彼女の掴みどころのなさは映画の脚色で、ここが良さでもあり蒼井優をステレオタイプな見方に押し付けているようでもあり、山里さんとの結婚後を思うとある種の重荷となってしまったのではないか、と考えてしまう。
原作はあっさりとした(しかしそこに軽やかな希望が見える)中編なので、映画化するならこのくらいの脚色はさもありなんですが、白岩は白岩で若くして結婚、子育てを一時的でも経験し、さとしはさとしでつらい出来事を経験し、その過去からお互いその先に進んでいきたいけどどうすればいいかわからないもどかしさを抱えているはずで、それを丁寧にすくい上げることでまた見えてくるものも違ったのでは?と思う。
フェンスを越えるかどうかは、そんな彼らの未来にも重ねられていて、非常に効果的で文学的なメタファーだったので、変わり者に仕立て上げられた彼女の姿がどこか薄っぺらく感じられるのは自分だけだろうか。
映画のようにエキセントリックでなくても、人は人と少し違ってそれが魅力的なのだと私は思う。
o

o