Osamu

蜃気楼の舟のOsamuのレビュー・感想・評価

蜃気楼の舟(2015年製作の映画)
3.7
今いる場所からの脱出方法も分からなければ、戻るべき家の場所も分からない。そんな男の精神世界の感覚を味わう映画。

ホームレスを囲って生活保護費を搾取する貧困ビジネス「囲い屋」でその男は働いています。社会で何も生産できなくなった人間を使って金を稼ぎ出すシステム。そこで囲われている人間はただ生きているだけです。

話が映画から少し脱線しますが、生活保護の相談に来たホームレスに行政が「囲い屋」を紹介することもあるそうです。ホームレス対策に困った行政が必要悪として利用しているとのことです。トークショーでゲストの方がおっしゃっていました。

だけど、この映画はそんなビジネスを糾弾したり、ホームレスの悲惨な現実を訴えるものではありません。

メタファーが散りばめられた詩のような映像を投げかけられます。

正直言って、僕には難しく何だか分からないんですが、完全ギブアップではない、という微妙なセンなのです。

分かるようで分らない。軽く取れば何だか気持ちが悪い、深刻に取るとパニックになってしまう、そんな感覚を味わう映画なのかもしれません。

観終わった後も、自分なりの解釈を考える楽しみがある映画ですね。考えるヒントを求めて他の人の意見を聞いてみたくなる映画です。
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