Osamu

ヴィオレット ある作家の肖像のOsamuのレビュー・感想・評価

4.2
みなさんは、東京・神保町の岩波ホールをご存知でしょうか?

僕はこの映画館の作品セレクトをかなり気に入っておりまして、昨年夏の初鑑賞以来すべての上映作品を観ています。と偉そうに言うほどの本数ではありませんが。

とても好きな映画館なのですが、ひとつだけ残念に思うところがあります。

座席の背もたれが低い。

肩の高さより低いので、頭を背もたれに預けることが出来ないのです。どんなにツマラナイ作品でも気持ち良い姿勢で眠ることは不可能です。TOHOシネマズなんかの座席と比べたら、とてつもなく貧相なのです。

ということで、そんな映画館で今上映されている映画の感想です。


ブサイクな女を観る映画。
女性で初めて性を書いたフランスの作家ヴィオレットの物語。

わたくし、醜さも極めると美しくなると思っています。

とんでもなく醜いものは、美しい。

でも、この映画を観ていて、違うかもと思いました。

とんでもなく醜いものは、おもしろい。

醜さの素、自分の欠陥を隠さずにそのまま相手にぶつける様が可笑しくて可笑しくて。笑っちゃうんですけど、無様すぎる姿にグッと来ちゃいます。

隠さず吐き出しているうちはいいのですが、それが誰にも受け容れられないと分かってしまうと、自分の内側に閉じ込めてしまうのです。その苦しみにもグッと来ちゃいます。

とんでもなく醜いものは、とてつもなく悲しい。

でも最後は思いました。

とんでもなく醜いものは、やはり美しい。


これ、傑作だと思います。

ストーリーに大きな盛り上がりはありません。感情移入も出来ません。でも引き込まれちゃう。ヴィオレットのブサイク一本槍の言動から目が離せなくなります。139分は映画としては長めですが、その時間でヴィオレットの作家人生の全てに付き合ったような感覚になります。それほど濃密。

「そうなっちゃうかあ」。
二度ほど天を仰ぎました。

そういう時、背もたれが低い岩波ホールの座席なら頭を思いっきり後ろに倒せます。

だから低いのかあぁぁぁーーー。