はせしゅん

この世界の片隅にのはせしゅんのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
5.0
傑作!!
今から考えると普通じゃない時代における現代にも通じる普通の普遍的日常の物語!

いい所あげたらキリがない!
のん(能年玲奈)の声がもうすごくいい!
いつもポワポワして天然そうで主人公と通じる。何なら同一人物なのかと感じるレベルで素晴らしい。天然っぽい所だけではなく彼女の闇の部分の声も本当に素晴らしかった。

片渕須直監督の調べ尽くされた演出本当にあの時代を覗き込んだ気分。特に食文化情景の演出。
宇多丸さんも言っていたけど画面内の情報量が多い。こちら側の知識量でなんぼでも面白くなる。
そして爆撃シーンや迫撃砲?や戦艦の作り込まれ方、爆撃で破片が木や家を壊す描写の怖さは素晴らしい。私自身もう何度も見返したアニメで1番好きなブラックラグーンの監督らしいので納得だった!

今作の特徴の1つでもある、反戦的なメッセージのない辺りも素晴らしい。
玉音放送を聞くシーンで主人公が言う台詞からも見て取れる。
あの時代はあれが普通で政府や世界があの感じだっただけで、片隅では普通の生活があったと言うこと。現代の世界にもある普通の生活が。
戦争が悪い事、悲劇でしかない。という私たちの考え方は今を生きあの時代を知っている私たちが言う今からの押し付けでしか無いのかと思わされた。
そう言う全世界的な考え方はそれから外れた、少なからず影響を受けてわいるが、一般人からすると普通に生活を送っているだけであった、どの時代、どの世界にもある片隅。

史実を知っている私達としては劇中の暦が出るたびにある種カウントダウンされてる気分になりサスペン的な要素を感じさせる。あの日付が近づくたびにドキドキする…
忌まわしき爆弾が落とされた日
何も知らない片隅に生きる人々は
劇中「今なんか光ったかね?」みたいな事を言うが向こう側では地獄絵図が広がってると考えると恐ろしい。

劇中での悲劇が起こるが、あのポワポワした少女がここまで闇を抱えてしまうのかと…
あの絵柄で火垂るの墓の母親の描写的なグロさが少し登場するだけでとても際立つ。

虫の使い方もうまかった。
人間が争って食料が確保出来ない状況下において、虫は至って通常どおりご飯を食べている。

最後の孤児のいく末もとても感慨深いものがあった。

本当に素晴らしい映画で語り尽くせないほどに情報が詰まっている。きっと日本映画界に残る作品になるだろう。
傑作以外の何物でもない!
シンゴジラを劇中で見られた事、そしてこの作品を劇中で見られた事は映画好きとして本当に誇らしい!!
本当に劇中で見られてよかった!
君の名はも良いけどこちらのほうが見る価値はある作品だとおもう!