M少佐

この世界の片隅にのM少佐のレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
5.0
 太平洋戦争中の広島、呉。

ぼんやりとした、絵の上手い娘さんが呉に嫁いで生きて行くお話。

良いレビューが数多あるので批評は割愛。
個人的な事だけ書きます。

見て良かったが、見るんじゃなかったと心底思う自分も居る。
ホンワカした絵柄の中にある、圧倒的なリアリティ。
地域性による生活様式の違いや、今の価値観と変わらない部分。
綺麗な絵柄の中で直接では無いが、そこら中にある残酷。
あー、何も知らないで見たかった。
でも何も知らなかったら理解も面白さも半減しただろう。
終わり方は日本人なら誰でも知っている八月六日と八月十五日と解っていても、物語の結末までは私は知らない。
最後まで見たいような、見たくないような面白いのに先を知りたくないジレンマの連続。

見ていて泣いたし、どっと疲れた。
映画館を出た後に明るい夜景の有り難さと、何処でも好きに生きていける世の中に漠然と感謝したり、ご飯が不味くても文句を言うのを止めようとか、とりとめの無い感覚に襲われる。

無為に生きるのも自由だが、それが許される世界の素晴らしさも少しは感じた。

アニメ映画史に残る傑作です。
一度は見て欲しい。
のんさんも世界観に合っていたと思う。

ただ、絵の上手い私には、あまりにも酷な映画だった。

あ、因みに1700本おめでとう俺(虚脱感)
M少佐

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