ふうこ

この世界の片隅にのふうこのネタバレレビュー・内容・結末

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

たくさん泣きました。
たくさん泣いて、家に帰ったとき、いつもの見慣れた景色や、おかえりと返してくれた弟と愛犬を、抱き締めたくなって、また泣きそうになりました。

かつてマザーテレサが「私を呼んでくださるのなら、どうか"反戦の会"ではなく"平和の会"に呼んでください」と言った、というエピソードが何故か脳裏をかすめました。

戦争の記憶を持たず、それどころか、ただでさえ経験値の少ない私たちの世代。つまり、平和ぼけした、世代。
そんな私たちが、戦争を風化させないこと以外にすべきなのは、平和を噛みしめることなのかもしれない。いかに、いま、しあわせであるのか。大金持ちでもないし、特別な人間でもない。でも、今の「日常」は、涙がこぼれるほど愛おしい。そんなしあわせを、平和を、有り難く、そしてこれからも自分たちの手で壊してしまわないよう、噛みしめていく。あの時代に生きた人々が、狂おしいほどに望んだであろう「日常」の尊さを、時に立ち止まって、見つめ直す。そんなことこそが、ほんとうの痛みを伴った「戦争」を知らない、私たちの使命なのかもしれない。そんなふうに思いました。

北條家の近所の奥さんが、原爆投下後、広島から皮膚もボロボロで呉にたどり着き、そのまま亡くなった男性を「自分の息子だと気がつかなかった」というシーン。あまりに淡々とさらっと流れ、えっ…と、悲しむ暇もなかったシーンでしたが、個人的には衝撃的かつ印象的です。
そしてなにより、昭和20年8月6日が近づくにつれ、息が苦しくなっていくあの感じ。忘れられそうにありません。

ぐちゃぐちゃレビューで、感情に言葉が追いついていませんが、とりあえずはこのくらいで。
そうそう。周作さんとすずさんの、優しくあまやかなやり取りは、どれもほんとうに素敵でした (*^^*)

・・・はぁ。疲れたけれど、もう1度映画館で観たいです。
ふうこ

ふうこ