Denkishino

この世界の片隅にのDenkishinoのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.0
君の名は。の人気に少し隠れはしていましたけれど、こちらの方が断然、内容があると思います。
戦争アニメですけれど、その悲惨さをひたすら描くのではなくて、日常の生活の有り様を。これはとても好感でした。どこか不思議で、登場人物も魅力的。魅力的というけれど、実際家族ってあんな感じですよね。天然の人もいれば、しっかりものもいて、ちょっとたまに意地悪な親戚も。でも、皆それぞれの優しさは持ち合わせている。戦争が良くないことなんて誰でも知った話です。賛美でもなく、批判でもなく、その様子を描いていく。
画面や色合いも親しみのある感じで、とても入りやすい雰囲気。キャラクター感も、悲惨さを軽減してくれる作りでした。ただ悲惨さを煽る内容ではないですから、この雰囲気はとても合っていました。

余談ですが、戦争に行ったお祖父様方たちは、集まれば戦争の話は必ず出てくると。ある人は「良いか悪いかは別にして、戦争に行った齢20前後の人達にとっては、青春だったんだろう」と言っていました。それを聞いていて、すずさんの玉音放送の聞いたときの反応は、なんとなしにわかるような気がします。そして、その青春が今の様な平穏なものでは確実にないけれど、それが不幸で不幸で仕方無かったかと言えば、私の祖母も、そうは言っていなかったです。無いことが良いのは当たり前ですが、それを受け入れた上で、生きていったお陰で私もこれを書いていますので。

更に余談ですが、結婚するにも、ああやって半無理矢理なんて、今では考えられないかもしれないけれど、みんな出会いから恋愛が上手な訳じゃないですから、せわしいかもしれないけれど、紹介なり何なりしてくれると、恋愛ベタな人間としては正直助かります…笑
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