いたって普通のというより、普通よりもおっとりしているすずを中心に昭和9年から終戦の20年までの家族を描いた作品。
ほとんど呼び知識なしに、火垂るの墓みたいなやつかな程度で観たら良い意味で裏切られた。
とにかく淡々とした日常とおっとりとしたすずが時々描くふんわりと優しい絵。白兎のような白波の絵は良かったなぁ。しかし月日が進むにつれて、8月6日に向けたカウントダウンのようでたまらない。
戦争に向かっていく不安感がありながらもシリアスにならないのは、すずの天然キャラと周りを囲む女性のたゆやかさ、男性達の穏やかさから。
ラストに向かうなか、二度と取り戻せない悲惨な出来事が登場人物達を襲う。しかしどんなに辛いことがあっても、洗濯もしてご飯も作らなきゃならない。そうやって日常が人々を癒し、また強くもする。他の戦争映画ではあまり見ない、普通の人達の日常から戦争を描いていく。
犠牲を払った女性2人が終戦の玉音放送を聞いて、無念で泣く姿に、ああこの人達も戦ってたんだなぁと実感した。
テレビで8月6日に火垂るの墓と交互に、世界の片隅にを流した方がいいと思う。