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この世界の片隅にのringrintaroのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.2
「この世界の片隅に」を見て学んだのは、物語そのものの力が圧倒的ならば、下手な構成とか批評性とか全く要らないんだという事でした。
際立った構成力など全く見えません。
突飛な設定を受け入れさせるリアリティー構築のための小道具とか一切ありません。

ただそこに「物語」があるだけです。
同時期に公開された「君の名は。」のように振り回される感じなど一切ありません。
戦争があって、広島がある。日本人でこの歴史を知らない人は殆どいません。
当然のように「普通のストーリーならば…」と予測させられます。
例えば、ほのぼのとした日常を描いていきなり悲劇、日常が壊れて非日常が露わになればそれだけでインパクトがあります。
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「…実は私ガンなの…」
「私50年後の未来から来たの…」
突如車が電車が雷がドカーン!!
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的な。
だったら嫌だな〜と思いながら見てましたが、淡々と丁寧に、日常が描かれていきます。
そこには血湧き肉躍る冒険も戦闘も、「それ言いたいだけやろ!」と言いたくなるような反戦メッセージもありません。
よくある非日常としての戦争ではなく、ただただ戦争の時代の日常が描かれています。
登場人物達のリアルな心情が、喜怒哀楽が、凄く丁寧に、きめ細やかに描かれています。
主人公すずが終戦の際に「最後の一人まで戦うんやなかったと!」とブチギレするシーンが好きです。
失われてしまったものが失われてしまった理由を無碍にしてしまって良い筈がありません。
いや、愚かな考えですよ?
でも人間というのは愚かなものです。愚かさの形が違うだけです。

ああ、なんで僕はこの素晴らしい映画製作のクラウドファンディングに参加しなかったんだろう!
この歴史的な映画のエンドクレジットに名前が残る幸せを感じたかった!

そして#能年玲奈 #のん 、すいません、彼女の演技まともに見た事ありませんでした。
今回声優です。
天才でした*\(^o^)/*
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