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この世界の片隅にのnanamiのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.0
戦士ではなく「戦時中を生きる人々の暮らし」にフォーカスが当てられた作品。
他の戦争映画と着眼点が異なることにまず驚いた。

内容も
最初から戦争を前提として物語が進んでいくのではなく、
すずちゃん達が親や兄妹、お見合い先の家族と 平和な暮らしを営んでいるシーンが前半に描かれ、
時間が経つにつれて、
戦争が物語の中に差し込んでくるという展開。
一言で言うと「普通に生きてたら戦争が暮らしを蝕んできた」みたいな流れ。

新鮮な展開だなと思ったけど、
戦争の残虐性を訴えかけるメッセージ性がとても強い作品だった。

家族とご飯を食べたり、
絵を書いたり、
笑い合って話をしたりと
いつも楽しそうで、おっとりとした性格のすずちゃんが
戦争の深刻化と比例して笑顔が失われていく。
大切な人を次々と亡くし、悲しみに暮れる瞬間が増えていく。
そんな姿が痛々しくて、戦争は何てむごいものなんだと改めて実感させられた。

絵も細かな表現や工夫が散りばめられていて、
とても手の込んだ映画だなと思った。
さすが話題になった作品...。
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