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湯を沸かすほどの熱い愛のcobiscoのネタバレレビュー・内容・結末

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

【一家和楽って死ぬほど難しい】
「浅田家!」が話題だし、前から気になってたのだけど「なんだかあんまり好きじゃなさそう」と思っていて観ていなかった。しかし、意を決してNetflixオン!(そんな気概はいらないと思うけど

結論、「とても好きだけど嫌いで、とても嫌いだけど好きな作品」になりました。

それはきっと自分が対峙しているようで対峙していない事実を描いてるからだと思った。目を背けたくなるような事実。きっと自分の家族にもあるんだろうなと思っている。だから見てて好きだと思うシーンもあれば、嫌いだと思うシーンもあるのだと思う。

中野量太監督ってこういう作風が得意なんだろうなぁと思った。作家性というのだろうか。リアリティをふんだんに入れ、観客のあるあるを醸成し、喜怒哀楽を込める。そして、最後はちょっとやりすぎる感じ。ユーモアなのだろうなと捉えた。

序盤は割りかし静かな印象だったけど、中盤あたりから感情はジェットコースターに乗って振り回されているかのごとく状態。3回くらい泣いた。杉咲花ちゃんのイジメのシーンは「いやこんなのありえないでしょ」と思いつつも、感情エグられすぎて二度と見たくないと思った。そしてそのイジメに負けずと無理やり激励しまくる母双葉さん。「それじゃ家出しちゃうよ」と思うし、そんな揉め事も見たくない。ここの宮沢りえさんの演技ハンパじゃないなって思った。作品への引き込み力がすごい。

子供は親の期待をある程度プレッシャーとして感じるものだと思うけど、それを親も子もちゃんと包み隠さず伝えることって大事なんだなって思った。「言葉にせずともわかる」ということも愛だと思うけど、「しっかりと言葉にして伝える」ってことも家族ならではの愛なのだと思う。

そしてポンコツオヤジことオダギリ・ジョーさんの絶妙なやる気無さ加減。だけど憎めないヤツ感。これは天性だと思う。演技じゃないだろって思うフシがたくさんあった笑
そんなポンコツ含めて家族を再結集させて、より強い絆で結び、過去の清算も全部やり遂げた母双葉。(フィクションだけど)こんな人でさえ命をかけて一家和楽を実現させることができた。

最後のシーンは賛否両論あるみたいけど、私は賛成。そもそも家族も1つの社会であり、文化。だからその葬い方は家族それぞれであっていい。送り出される方も送り出す側も納得していればそれで良いと思う。あくまで世界観に入り込んだ前提として、、、の賛成ですが笑
※銭湯は昔からエンディングのような葬い方をしているとのことでした。

後片付けとか、そういう観点での問題もあるから全面的に賛成か?と言われたら違うかもしれないけど、「それくらいの熱量の愛で接してきた。しかも自分は血が繋がっていないのに。」ということを考えたら自身を「一家和楽」に対する考えを見直す良い機会になるのではないかと。

しゃぶしゃぶを食べる日のルールづくりとか素敵だなと思う。
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