メタ壱

顔のないヒトラーたちのメタ壱のレビュー・感想・評価

顔のないヒトラーたち(2014年製作の映画)
3.8
1958年、フランクフルト。
検事局に、元ナチス党員が教師をしているという告発が。
しかしナチスやアウシュビッツの事は社会が蓋をしており、若い世代はアウシュビッツの事すら知らない。
多くの人たちがそれらに関わろうとしない中、一人の若手検事・ヨハンはアウシュビッツ収容所での犯罪を裁く為に“迷宮”へと足を踏み入れる…という、ドイツの歴史観に大きな影響を与えた『フランクフルト・アウシュビッツ裁判』までの道のりを描いた事実を基にした作品。

とても難しい問題を提示する作品。

ナチス・ドイツによって行われた虐殺があまりにも大きすぎて、それらにどう向き合えばいいのか解らず終始心が不安定になります。

殺された多くの人々と筆舌に尽くしがたい残虐行為。
そのどこに“悪”があるのか。

本人が望むと望まざるとに関わらず、当時の多くのドイツ人はナチス党員だった。
そして時代によって狂わされた。

彼らは圧倒的な加害者であると同時に、被害者でもあるのかもしれない。
じゃあ彼らに罪はあるのか?
あるとするならばそれはどこにあって、どんな罪なのか?

どう考えてもいくら考えても、罪と罰と正義の正しい形が見えてこず、暗澹たる気持ちだけが頭をもたげます。

それ程までに大きな出来事。

全てを裁く事も、答えを出す事も出来ないかもしれませんが、忘れない事、繰り返さない事だけは全人類に課せられた義務なのかもしれません。
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