ぼっちザうぉっちゃー

シャザム!のぼっちザうぉっちゃーのネタバレレビュー・内容・結末

シャザム!(2019年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

『バットマン』を筆頭に比較的シビアなダーク路線が強い印象なDC作品のコメディ担当ということで、やはり見劣り感は否めない。とはいえ『アクアマン』然り『ワンダーウーマン』然り、時代も種族も超越したパワフルでスペクタクル級のヒーローが台頭する近年の作風のなかで、町一個分な規模感のファミリー映画テイストに仕上げたのはなかなか気が利いていたような感じもする。
そんななかで、人がドロドロに崩れて最後骨だけになったりそこそこショッキングでおどろおどろしい表現が用いられたりとか、パワーを手に入れてお手本のようなはしゃぎ方で能力のテストをするテンプレを踏んだりとか、ビジュアルや筋書きが非常に「分かりやすくて楽しめる」作りになっていたのが好印象だった。家の扉から異世界へ行ったり隠れ家見つけたり、身近にファンタジーを感じる要素があるのも子どもにとっては嬉しいポイントだと思う。

そして主人公ビリー・バットソン(“ク”ラーク・“ケ”ント、“ピ”ーター・“パ”ーカー同様韻踏み主人公)がなんとも人懐っこそうな顔立ちのガキんちょで嫌いになれないし、なにより友達のフレディが絶妙に天パの変な奴感があっていい。その二人がまたお互いひねくれ者同士なところもまた面倒くさいい。ただ、皆シャザムるのは良いんだけど、オタクキャラが報われる最後の展開への接続は微妙な感じがしたかもしれない。

子どもが大人の姿を得るということそのものが、ギャグや戦闘における利点になったり、その年齢の身に余るコンプレックスを抱える主人公自身や中身が子どものまま大人になった今作のヴィランと対比されるメタファーとして機能していたりしたのは良くて、なかなか面白いモチーフだと思った。

まぁ魔術師の爺さん最後の勇者の選び方やっつけじゃねとか、何気に変身の度に毎回雷落ちるの不便じゃねとか、養父が実際一番強そうじゃねとか、言いたいことも色々あるけれど。そんなことより個人的には、七つの大罪の化物が、あんなゴツくて厳ついフォルムのくせして煙で消えてまた現れてとかいう超トリッキーな戦い方してきたのがツボ過ぎて一番好き。カッコよすぎじゃんよ。あと『ブラックアダム』でも思ったけど勇者を「チャンピオン」と呼ぶのは特別な意味があるのかな。

まだまだ深める余地もキャラクター性も溢れていると思うので次回作、そしてそれ以降のユニバース展開にも期待。