深獣九

残穢 住んではいけない部屋の深獣九のレビュー・感想・評価

3.5
穢は呪。呪いは続く……。

ある怪談のルーツを探っていくうちに、ずぶずぶと深みにはまり逃れられなくなってゆく恐怖。物件ホラーと思わせておいて、呪いとはなにか? を壮大なスケールで描く。

市井の体験者から集められた怪談、というごく狭い世界からはじまり、見た者聴いた者すべてに感染してゆく展開に、ぞわぞわと肌が粟立つ。
ジャンプスケアがほとんどないのもよい。
なんだかわからないけど気味が悪くて引き込まれる。
またある作家が実際に現場へ赴き、取材を重ねてゆく様を描く方式も、リアリティを感じさせる。実在の作家が登場するのもよい。平岡芳明せんせー!

ただ、ラストのビックリはいらなかったのではないか。それまでの雰囲気が崩れ去ってしまった。残念。エンドロールの映像だけでよかったと思う。

とはいえ和製ホラーの陰湿な雰囲気が漂う好みの作風。原作にかなり忠実に映画化されており、どちらも面白いというのはかなりめずらしい。満足。

穢は場所に着く。
そして人に着く。
面白半分で穢に近寄ってはならない。
深獣九

深獣九