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残穢 住んではいけない部屋のisopieのレビュー・感想・評価

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実話怪談というより「砂の器」的な捜査ものの様相を呈する。過去へたどると怪談の根はすべて同じなら、日本の怪談は「四谷怪談」も「番町皿屋敷」もみんな一本に収斂するのかとか、縄文・弥生時代の因縁はないのかなど、余計なことを考えてしまう。

中村義洋監督はJホラーの王道的なスタイルをも器用にこなす職人ぶり。あんまり怖くないが、古い写真・地図・新聞記事・手紙・文献など、経年変化した小道具類のディテールがよい。フェイク・ドキュメンタリーふうの趣向を活かすため、地味な顔だちと演技のたしかな俳優を集めて脇にそろえたのが効いている。

しかし、すべての怪談の大元が「ふれてはいけない」「みんな祟られる」という奥山家の因縁話で、松竹作品でこれはどうなの、と笑ってしまった。話の性格上、家・アパート・マンションがやたらに出てくるが、ロケ場所の交渉はどうしたのだろう。なにせ「住んではいけない部屋」というタイトルの映画だ。
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