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ハッピーアワーのmikeのレビュー・感想・評価

ハッピーアワー(2015年製作の映画)
4.5
どうしても観たくて、友だちにDVDを借してもらった。期待を裏切らずほんとうにおもしろかった。全く長さを感じないし、サブテキスト読みたいし、サブストーリー蔵出ししてほしいし。濱口監督の講義やワークショップ受けてみたいなぁぁぁ!とにかく脚本にマーカーを引きながら読みたいほど、パンチラインの連続。

もともと群像劇は大好きだけど、各登場人物への距離感が見事だった。間違って見える人の言い分も一理あるように描かれているし、ちょっと嫌いになりそうなタイミングでぐっと引き戻されたり、ずっとシーソーを揺らされ続ける。鵜飼のワークショップで語られていた「自分と他者との重心を探る」ように、映画内で繊細に調整され続けるバランスは、全編にわたってすばらしかった。
鵜飼の「全然わかんないんですけど、いいんじゃないですか、すごく」というせりふを聞いて、濱口監督はこういう目線で人を見ているのかな?と思ったりした。

わたしは濱口監督と村上春樹には親和性があると思っているのだけれど、村上春樹の文体と同じく、濱口監督の電話帳読み演出も発明だな、と思った。あとは、自分がとても影響を受けた『マグノリア』や『薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木』(江國香織)と近いものを感じて、この作品も何度も反芻することになるだろうなと思う。
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