なかよし

ハッピーアワーのなかよしのレビュー・感想・評価

ハッピーアワー(2015年製作の映画)
4.5
これからの、話をしよう。
俺はもっと自分のことを好きになりたいし、自信を持ちたい。今の自分はなりたかった自分なのかと自問し続けたい。
愛されたかったら愛せばいいし、でもそれは永遠に続かないと分かっていたい。



4人の主人公。親友のように見える彼女らは、一点で立つイスのように、互いを互いに支え合う奇跡的なバランスで成り立っていたのだ。そのイスが倒れた時、それぞれが孤独に崩れ落ちてしまう。

知ってほしいこと、知らせてほしいこと。
誰かには言ったこと、誰かには話していないこと。
ある者は、そんな話聞いていない。と怒り、
ある者は、自分のものさしでしか測れない人に大事なことなど言えない。と述べる。

思いやりを持ったつもりで言わなかったことが、一方からみるともどかしさになり得るのだということ。

額をくっつけて何か考えを共有しようとしても、はらわたの音を聞いてみても、身体に触れてみたところで、心は届かないし、声は聞こえない。
だけどそれでも、分からないからこそ誰かに触れたくなる。
触れている時に幸せや安心感を得る。

男はなぜ女を幸せにできないか?
「聞く」力が決定的に欠如している彼らは、女たちの心に気付かない。
言わなければ分からないのだ。
ただ、聞き取れない彼らの力不足を知っているなら、女だって「言う」べきであろう。
言わないままであって、気付いてもらえない。と嘆くようなら、同情の余地はない。
その歩み寄る精神があってはじめて夫婦は夫婦たり得るのではないか。
言えばいいじゃないか。とは、ある一種の暴論であることもこの映画を観た後だと理解できるのだが。

どうしたら幸福になれるのか。という問いを投げかけているのだ、5時間はとても短い。
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