地球外生命体

クズとブスとゲスの地球外生命体のレビュー・感想・評価

クズとブスとゲス(2014年製作の映画)
3.3
監督・脚本は、自主制作映画『青春墓場』三部作(08・09・10年)が高く評価され、最終作『青春墓場〜明日と一緒に歩くのだ〜』は、<ゆうばり国際ファンタスティック映画祭>オフシアター部門グランプリを受賞。若干24歳にして『東京プレイボーイクラブ』(11年)で 商業映画デビューを飾った異才・奥田庸介。華々しくデビューしたものの、その後思うように作品を撮れず、日雇いや夜の世界に身を投じくすぶっていた彼が持てる全てのエネルギーを注入、本作は4年ぶりの長編新作となる。

自身の率いる「映画蛮族」のスタッフと共に原点である自主制作の現場に立ち戻り、製作資金はクラウドファンディングによって調達。スポンサーや映画会社の制約と庇護から一切解き放たれ、それゆえに、ひりつくようなリアリティと切実感が細部まで横溢。しかも主役のスキンヘッドの男を自ら演じており、体重を15キロ減量、眉を剃り落とし、鼻ピアスを着ける肉体改造を施し圧倒的な存在感を見せている。その徹底ぶりは鬼気迫るものがあり、アクションはすべてリアルファイト、流れる血は本物、本番中にビール瓶で自ら頭をカチ割って12針も縫う大けがを負い、そのまま病院送りになって撮影が中断したほど。

この通常の映画づくりを無視したような規格外の熱量に誰もが度肝を抜かれ、<第16回東京フィルメックス>ではスペシャル・メンションを授与され(奥田庸介個人に対し)、<第45回ロッテルダム国際映画祭>にも正式出品された。

【公開決定にあたり、奥田監督のコメント】
この映画を例えるならば、15の夜に行き先も分からぬまま暗い夜の帳の中を盗んだバイ クで走り出す代わりに、28の夏に生き方も分からぬまま辛く無意味な人生の途中で怒った 奥田が暴れだす、といった感じだと言ったら分かりやすいでしょうか。最早映画とは呼べ ないぐらい個人的なシロモノなのですが、薄汚く自己正当化しますと、今のこの日本文化 の有り様だからこそこんな映画があって良いと思います。
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