このレビューはネタバレを含みます
わー!めっちゃ面白い!
子供と大人の対立が軸というか、子供だから間違うこと、大人だから出来てしまう嫌なこと、大人だからできる責任のこと、そして子供だからできる立ち向かうことと、子供と大人の違いが物語のあらゆる場所で出てくる話だったなあ。
私はヒーロー映画における「何故ヒーローはヒーローなのか?」と立ち返る部分が好きだったりしますが、ホームカミングの蜘蛛の糸を出せるからあのスーツを着ているからピーター・パーカーはスパイダーマンなんだじゃなくて、絶望のどん底で自分は自分だから(それこそ大いなる力を持つことも含めて)ピーター・パーカーだからスパイダーマンなんだと思うところ、そしてそこで放たれる劇中二度目の「いけースパイダーマン」のセリフにぼろぼろと泣きました。
しかし今作の敵ヴァルチャーの辛みと言ったら。大抵の大人はヴァルチャーに感情移入しちゃいそう。というかヴァルチャー視点で、描き方を変えたら池井戸潤原作ドラマというか「下町ロケット」というか「下町武器職人」って感じになるやんかと思った。
故に「世界をどうこうする」って話でもなく、恐ろしい計画があるってわけでもなく生活のために悪いことをしているというのが切なくもありました。
富める1%なスタークさんへの批評的な視線もあるというか、結局上手くいってるお前ばっかり稼いでるやんか!って下請け業者的な怒りがヴァルチャーにはあってとても好きでした。
今作の一番好きな場面はこの世で一番最悪な彼女のお父さんに挨拶って部分だと思う。圧のかけ方が怖すぎるんよ。
にしても友人ネッド最高ですね。3800ピースのデス・スターを作ろう~って言ってきたり、ちゃっかり椅子に座る人ってポジションを掴んだり、友人の秘密を守るために「エロ動画を見ていました」といえる勇気。
そうネッドもまた黄金の魂を持つ人間なんだよ…。蜘蛛の糸を出せなくともヒーローなんだよ。
にしてもPS4の『スパイダーマン』をやってた時に感じてた「思ったよりも攻撃力がないね…まあ蜘蛛の糸やもんね…」が『スパイダーマン ホームカミング』でも沢山あったので大満足です。
むかしみずしな孝之先生が漫画で書いていた「ニューヨークの高層ビルが多いところだからスパイダーマンって活躍できるけども、日本の住宅街だったらしんどそうだよなあ~」って視点が、今作でもあって笑ってしまった。
住宅街や郊外に弱いスパイダーマン。ニューヨークの子で良かったと本当に思うよ。
チャイルディッシュ・ガンビーノっていうかドナルド・クローバーが出てくるとぼけた尋問シーン、完全にドナルド・クローバー劇場で楽しかった。とぼけた会話ととぼけた表情が凄く似合うなあ。ドラマ『アトランタ』もちゃんと見たいな。