常盤しのぶ

スパイダーマン:ホームカミングの常盤しのぶのレビュー・感想・評価

3.5
トムホスパイディシリーズ第一作目。個人的には次作であるFFHおよびNWHを既に視聴済であるため、彼らの前日譚として楽しむことができた。前スパイディらと比較するとトムホは一番若々しく、好奇心旺盛で、ヤンチャな、クソガキ。トニーを始めとした周りの大人の話を一切聞かず、己が正義を振りかざす様子は正にケツの青い若造と呼ぶにふさわしい。

本作で親代わりのトニーもトニーでトムホを子供扱いしすぎている。子を持たない大人がいきなり高校生を相手すればそうなるか。だいたいトニーがここに至るまでに何をしてきたかを考えると、トムホに対していっちょ前に説教を垂れている様子が非常に味わい深いものに見えてくる。自身の反省と自戒を込めているつもりなのだろうが、それにしても棚に上げ過ぎである。

そんな口うるさい親戚のおじさんの話を一切聞かず、もらえる物はもらい、アベンジャーズの一員であると天狗になっているトムホは、自らの正義執行で市民を混乱に陥れてしまう。

以前に私は『力に支配された正義は悪である』と持論を述べたことがある。トニーから託された巨大な力をろくに御すこともできずに半ば暴走する。その様子はまさに彼が倒すべきヴィランのそれである。自らは正義を執行したと思っていても、結局は他からどう映るかである。

信念を貫くにもまた違う力が必要なのだとトニーは教えたかったのだろう。トムホにはそれが足りないからしばらく学生生活を送ってほしかったのかもしれない。いつも通り言葉選びがヘタクソだから通じなかったが。

それはそうと、作中通して描写されていたキャプテン・アメリカはあれは必要だったのだろうか。本編に対して絡むでもなかったから、単独作と思って視聴したニュービー視聴者を混乱させるだけのように思えた。