ねじまき

エンド・オブ・キングダムのねじまきのネタバレレビュー・内容・結末

エンド・オブ・キングダム(2016年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

クラスで成績一番、でも不真面目。みたいな人が作った前作でしたが、今作はそのシリーズ2作目とは思えないくらいに所々がおかしな事になっており、なんというか、とても楽しかったです。
未曾有の大惨事を描いた作品をつかまえて何楽しかったとか言ってんだって感じですが、いいんです。作った人もそんな気持ちでしょうし。

前作を経てすっかり仲直りした大統領と主人公。冒頭、いきなりロッキー3みたいなホモホモしい感じがあってスゴイです。
そして事件。あるトラブルがキッカケでみんなロンドンに行くんですが、トラブルの原因も分からないままにホイホイ行っちゃうので、ああみんな死んじゃうのかなあと思ったらやっぱり全滅。んでさんざん死んじゃったりとかした後に「さっきトラブルの件、調べたらやっぱり罠でした」という報告に誰も怒らないのがところもなかなかスゴイ。スゴイ、というかみんな優しい。こんなに上手く行くとは思わなかったと悪い人が呟くシーンが入ってたのには爆笑しました。
他にも各国の首相の描き方やら、テロリストが100人位潜入してても気がつかないイギリス警察やら、いろんな人が顔を真っ赤にして怒りそうなポイントが満載ですが、ひとつひとつ挙げていくといつまでたっても本編に入れないのでこの辺にします。
そんなこんなで前作と同じように主人公が大統領を引きずり回しながら奮闘するという流れになります。なりますが、とにかくスゴイのがここからの主人公の殺人狂ぶり。テロリストだからどんなに残酷な殺し方しても構わないという絶対正義があるみたいなんですが、コレが本当にとんでもない。
ボスの弟を始末する時はわざわざボスに電話して弟の断末魔の叫び声を聞かせます。テロリストを拷問する時はナイフでグッサグサ。最後は「いいか、俺たちの国は1000年は安泰だ!」と今の時代なかなか聞く事の無くなった大胆なメッセージをぶち上げてのフィニッシュブロー。スゴイ。すっごくスゴイぜ〜。力の行使の是非の問題とかを(たぶん)言いたかったこの作品自体をぶち壊す主人公のこの狼煙に応えるように、モーガンフリーマン演じる副大統領がホクホク顔でボスのアジトをドローン爆撃し、この映画は終了します。
直接戦いに関係の無い人間が爆撃に巻き込まれた事から始まったハナシのように見えたのですが、それは何かの感違いだったのでしょう。

主人公の異常なキリングマシーンぶりだけであればなんだかおかしな作品、というだけなのですが、その周りも色々歪んでいる為に、有無を言わせぬ一貫性を生み出す事に成功した怪作です。とてもオススメする事はできませんが、とにかく楽しかったです!
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